袋のサイズは同じなのに内容量が10%削減されていたり、枚数は同じなのに厚さが薄くなっていたり、見た目は変わらないのに食材そのものが変更されていたりと、ステルス値上げにはさまざまな形があるが、以前と変わらないと消費者に誤認させるよりも、率直に内容変更について伝えたほうが、企業にとっても印象がよくなる可能性がある。
一方で評価を高めた「サイゼリヤ」
値上げを率直に伝えたことで、逆に評価が上がっている企業がある。それが、低価格戦略で知られるイタリアンチェーンの「サイゼリヤ」だ。同社は2026年10月29日から、メニュー全般を平均6%値上げする。看板商品の「ミラノ風ドリア」は300円から320円となる一方、ワインやランチなどは価格を据え置き、ビールは値下げする。
松谷秀治社長は、値上げについて「非常に不本意」と説明し、努力不足を詫びるとともに「隙あらば安くしたいと思っています」と発言した。これが好意的に受け止められており、SNSなどではサイゼリヤに対しての称賛の声が相次いでいるのだ。
値上げの背景にあるコスト増と、企業努力を重ねてきたものの、限界に達したことをしっかりと伝えて謝罪する。そしてその上げ幅は最低限にとどめて、価格維持や値下げメニューも入れる。さらにいずれはまた価格を下げたいという、この先の企業の価格に対する考え方も明らかにした。消費者に対して誠実な姿勢だろうと思う。
サイゼリヤは長年、多くの人が無理なく利用できる価格を維持し、日常的に利用してもらうことを重視する価格設定で支持を集めてきた。価格を上げて原価上昇を吸収するのではなく、仕組みを変えて無駄を減らす。いかに低価格でメニューを提供できるか、という点に重きを置いている姿勢が、多くの利用客に伝わっていたからこそ、今回の値上げに対しても称賛の声が止まないのだろう。


※ログイン後、コメント入力が可能です。