2019年10月、そごう・西武は徳島店の閉店を発表する。そして2020年8月31日、そごう徳島店は37年の営業を終えた。
駅前だけの便利さではなくなった
ここまでを年表にすると、徳島駅前で起きた変化が見えやすい。

こうして並べると、そごうが閉店した理由は一つではないことがわかる。橋を使って関西へ出かけるのも、車で郊外のモールへ行くのも、消費者にとっては便利になった結果だ。そごうが売り場を変えたのも、道路が整備されたのも、その時点では必要な判断だったといえる。
1972年の報告書は、郊外に新しいショッピングセンターをつくるより、すでに店が集まる中心市街地を強くするほうが現実的だと判断していた。そごうの成功は、その判断の上にあった。
これは徳島市に限った話ではない。本連載の第4回で取り上げた茨城県土浦市でも、車で買い物をする人の割合は、モータリゼーションが加速した1980年の46.3%から、5年で64.9%へ上がり、車の向かう先は駅前から郊外モールやつくば市へ変わっていった。
駅前に大型店を集めて街の中心を守る方法は、人が車で動くようになると、どの街でも同じ弱点を抱えた。「1カ所で用が済む」便利さは、駐車場のある郊外にもつくれるからだ。
取材中、この変化を実感する話を聞いた。東新町一丁目商店街振興組合理事長の福田(ふくた)典彦さんは、徳島市の隣にある北島町の出身だ。かつて「街へ行く」といえば、駅前ではなく新町地区のことだったという。
「商店街を活性化したいとは思うけど、いまは定休日になると恥ずかしい話、フジグランやゆめタウンへ出かけています。車で行きやすいし、駐車にも便利ですから」
それでも福田さんは、商店街の役割がなくなったとは考えていない。専門店には百貨店にない知識や情報があり、それを求めて来る客もいると話す。買い物の便利さだけなら、もう駅前でなければならない理由はない。だからこそ、これからの中心市街地には「わざわざ行く理由」が必要になるのだろう。
では、その「わざわざ行く理由」は、今の徳島の中心市街地にあるのだろうか。次回は、そごうが去ったあとの駅前と商店街を歩きながら、街の人たちに話を聞く。


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