その4つは「どんな仕事と立場であっても体調不良のリスクは変わらないため、過剰な不安は無用」「働けない期間に対する備えが必要なだけ」「一定の貯蓄と保険加入などを安心材料にしておく」「取引先との信頼関係、同業者との互助関係も構築しておけたらベター」。
杉山さんはこれらの備えが十分ではなかった分、身体的だけでなく精神的にも追い込まれたのかもしれません。
万引きは「依存症のリスク」が高い
最後に万引きについて言及すると、「子どもや高齢者が行う軽い犯罪」「見つかっても注意と支払いのみで終わる」というイメージがあるかもしれませんが、窃盗罪で逮捕・起訴される可能性があるなど、一瞬で人生が暗転しかねない行為です。
「被害額が少なく、前歴がなければ微罪処分で検察庁に送致されず、起訴もされない」というケースが多いのは確かでしょう。しかし、動機、計画性、犯行手口などの悪質さ、逃亡の有無、被害者の処罰感情などによっては、略式起訴による罰金刑、正式裁判による拘禁刑、さらに執行猶予がつかないリスクもあるようです。窃盗罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。有罪判決を受けるとどちらかが科されてしまいます。
また、万引きというテーマを扱ううえで忘れてはいけないのは、クレプトマニア(窃盗症)という依存性の高い精神疾患のリスク。「最初はそれが欲しくて万引きしていたけど、次第に万引きへの衝動が抑えられなくなってしまった」というケースが多く、専門的な治療が求められます。
筆者の相談者さんにも万引きを繰り返す子どもの母親がいて、話を聞くとクレプトマニアそのものでした。もし「自分の身近な人が万引きをした」という事態に見舞われたら「ほんの出来心だろう」と軽視せず、再犯から依存に至らないための継続的なフォローが必要です。
万引きはそれが理由で廃業を考えるほど深刻な被害を受ける店があるほか、従業員の低賃金や雇用契約終了、商品やサービスの品質低下にもつながりかねない罪深い行為。これまで以上に厳罰化が求められていくのではないでしょうか。


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