ある日の病院の光景
ある日、私は病院でこんな光景を見ました。
診察室の前の待合室に、年配の夫婦が並んで座っていました。奥さんのほうが診察を受けるようで、順番を待っているところでした。
奥さんは少し不安そうな表情をしていました。病院という場所は、誰にとっても落ち着かないものです。診断の結果がどうなるのか、どこか胸がざわつくような時間が流れていました。すると隣に座っていたご主人が、何も言わずに、そっと奥さんの手を握りました。強く握るわけでもなく、ただ静かに手を重ねただけでした。
その瞬間、奥さんの表情が少し変わりました。肩の力が抜け、緊張していた顔がゆるみ、ゆっくりと息を吐きました。言葉は交わされていませんでしたが、2人の空間は安心感で満ちていました。
触れることの力は、生まれた瞬間にも宿っています。


※ログイン後、コメント入力が可能です。