そんなとき、自分のホロスコープを見て、土星が重要な位置に巡ってきていることに気づきました。それまで頭だけで理解していた土星のシンボリズム――闇、現実とのせめぎ合い、暗さ、時間はないという感覚、孤独、鬱――それらが、まさに現実のものとなって迫ってきたのです。
しかしそれは同時に、自分の人生のなかで、自分の弱さや影の部分と向き合う重要なプロセスであることも、占星術が教えてくれました。
頭ではそれらの「知識」を理解していても不安や怖れが消えることはありませんでしたが、それでも土星のシンボリズムに前もって親しんでいたことは、僕にとって大きな助けとなりました。
その頃、僕はちょうど、占星術でいうところの「サターン・リターン」の時期に差しかかっていたのです。
土星の公転周期は29年半から30年くらいですから、誰でも30歳手前で、土星が自分の生まれたところの位置に戻ってきます。その時期に人は、人生の転換期を迎えます。
まさに僕はサターン・リターンを機に、恐る恐るでしたが、新しい一歩を踏み出したわけです。
僕は土星のシンボリズムを心の片隅において、そしてなにより友人たちに助けられながら、人生の危機的な状況を乗り越えました。
その経験を通して、心理学的な占星術は決して「一錠で暗い気分を吹き飛ばす」抗鬱剤のような効果はないけれど、自分の心の中で起こっていることを、神話的なイメージでじっくり見つめ直す有効なツールになると、改めて実感したのです。
天使占いを仕掛ける
不思議なことに、大学院をドロップアウトしてからも、新しい仕事が次々と入ってくるようになりました。
正確にいうと、まさに「背水の陣」の心境だったので、自分で仕事を開拓しなければと意を決し、企画を立てて知り合いの編集者に打診するようになったのです。
そのうちのひとつが、イタリアのフィレンツェで開催された「国際天使会議」の取材でした。
当時、ヒラリー・クリントンがエンジェルのバッジをつけてメディアに登場したり、アメリカの雑誌『パブリッシャーズ・ウイークリー』の週間ベスト10の半分以上が天使関連の本だったり、『タイム』誌の表紙が天使の絵だったりと、ちょっとした天使ブームが到来していました。一種の文化現象だったと思います。


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