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「アヤシイ仕事はやめなさい」教官の言葉に揺れた夜…鏡リュウジが学術の道を捨てて仕掛けた『天使の事典』誕生秘話

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独立後に「天使占い」を考案した鏡リュウジ氏。アイデアが次々と浮かんだそうです(写真:パーシー/PIXTA)
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そんなとき、たまたま大学時代の友人が、英字新聞で天使会議があるという小さな記事を見つけて、「こんなのがあるよ、服部君」と教えてくれたのです。

「へぇ! じゃあ、行ってみようかな」

『占い師の正体-人はなぜ占いに惹かれるのか』(中公新書ラクレ)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

そんなノリで、知り合いの写真家と一緒にイタリアに行った次第です。その国際天使会議自体は、30人くらいの女性が集まっただけの小規模なもので、主催者がちょっとカルトっぽい感じで、予想していたものとは違ったのですが――。

ただ、アメリカで大流行したものは日本でも流行るのではないかと思い、伝手のあった雑誌『BRUTUS』(マガジンハウス)で1994年に、「〈天使〉解体新書」という特集を組んでもらうなど、積極的に自分で仕掛けていきました。

柏書房からも『天使伝説』(パオラ・ジオベッティ著 鏡リュウジ訳1994)、『天使の事典 バビロニアから現代まで』(ジョン・ロナー著 鏡リュウジ・宇佐和通訳1994)を出したりしました。『天使の事典』は2350円と当時としてはけっこう高い本でしたが、3万部くらいは売れたのではないでしょうか。

当時の僕は、占星術家、翻訳家にしてフリーランスの編集者、ひとり広告代理店みたいなもの。リズ・グリーンの『占星学』を岡本翔子さんと共訳したのも、この年でした。

『占星学』はだいぶ硬めのものでしたが、一方、「売る」を目的に、生まれた曜日に基づいた「天使占い」を考案。

生まれた曜日は7つの惑星に配当されますが、ルネサンス時代からこの7つの惑星が7つの天使に配当されていました。たとえば太陽はミカエル、月はガブリエルといった具合です。

そこに着目し、それぞれの天使にキャラクター付けをして、いろいろな雑誌で展開していったのです。

ターゲットに合わせて多様なかたちに発展させる

このように西洋占星術は、基本をもとに多様なかたちに発展させることが可能です。

また、いわゆる「今月の○○座」という記述だけではなく、パッケージを変えて、多彩な展開が考えられます。

この時期、そんなふうに伝統的な占いを下敷きにして新しい占いを作ったり、ターゲットに合わせて書いたり、エンタメ的な加工をするトレーニングを積んだように思います。まだ若かったし、アイデアが次々と浮かんできます。

おかげでいろいろな女性誌で楽しく仕事ができ、どこにも属していないという不安をとりあえず克服することができました。

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