そこで先生に「メディアの仕事はやめて勉学に励みます」と報告に行こうと決めた夜、こんな夢を見たのです。
夢のなかで、外出先から自分のアパートに戻ってくると、部屋の奥にないはずのドアがあります。ドアを開けるとホコリだらけの使われていない部屋があり、突然カタカタと音が鳴ったかと思うと、コンピューターに接続されているプリンターが勝手に動き出しているのです。驚いてプリンターを見ると、プリンターは次々とホロスコープを吐き出していました。
そこで目が覚め、僕は心を決めました。先生には、「いったん、大学を離れます」と伝えよう、と。
夢に出てきた「使われていない部屋」は、無意識レベルで、自分を抑圧している部分を示しているといえます。
もし、僕が自分の心にウソをついて「占い」の世界を締め出してしまったら、使われない僕の部屋は、無限に吐き出される、誰にも読まれることのないホロスコープでいっぱいになってしまうに違いない。そう気づいたのです。
ICUの教授で聖書学の権威である並木浩一先生は、道を踏み外してしまいそうになっている僕に「君は文才も学才もあるのにもったいない」というハガキをくださり、恐縮しました。きっと前途を心配してくださったのでしょう。
まあ、学問という厳しい道からの逃避だったともいえますが、アカデミズムから離れることでより自由な活動ができるようになったのも確かなのです。
土星の暗示
そんなわけで、初めて「学生」という肩書がなくなったわけですが、まず、日常生活からして戸惑ってしまいました。
頻繁に都心のあちこちの出版社に顔を出していたので、定期を買いたいと思っても、学生証がなくなったらどうやって定期を買っていいかわかりません。大学にはもう行かないのだから定期はいらないわけですが、要はそれくらい、世間知らずだったのです。
とにかく心細く、心もとなく、どうしたらいいかわからない。
学生時代の友人たちは、就職するなどして、みなきちんと仕事をしています。
僕はといえば、執筆の仕事はけっこうあったので生活に困ることはありませんでしたが、「身分」がない状態です。それが不安で、ちょっとした鬱状態になってしまいました。


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