オーナーが指示してくれた通りにまずはジュースを飲み、レモンスライスを齧って「酸っぱ!」と叫んでからミラクルフルーツの薄い果肉を食べました。そして再びレモンを齧ると……。
「えー!? 本当だ、甘い!」
私が驚きの声を上げると、オーナーは「してやったり」と満足気に口元を緩めました。「ミラクルフルーツの成分が舌の甘味をキャッチする受容体とくっついて、酸っぱいものを食べたときに『甘い!』って信号を出すんですよ」。
「パインも、めちゃくちゃ甘く感じる……」。妹も感心した様子で呟きました。
「効果はどのくらい保つんですか」
「30分くらいですね。ミラクルフルーツ、おもしろいでしょう。飲み会なんかでね、これ出すと盛り上がりますよ」
確かに、なかなか得がたい体験です。個性的なオーナーとはほかにも地元のお祭りの話などでひとしきり盛り上がり、強い印象を残してくれた熱帯植物園をあとにしました。
旅の最後は伊豆半島最南端の岬
お昼はオーナーが教えてくれたお店で金目鯛の煮付け定食に舌鼓を打ってから、車で遠くない場所にある石廊崎に行きました。有名な灯台がある、伊豆半島最南端の岬です。
灯台には入れなかったのですが、岬は海に面して切り立った崖になっていて、眼下に広がる波が岩に打ち寄せる様子は迫力がありました。高いところは怖いのですが、崖の上はぐるりと手すりが囲ってあって、これがあるおかげでかなり恐怖心は和らぎました。
「手すりを持っているから安心」ではなく、「手すりがあるという心理的な安心感」です。妹と「手すりってすごいね」「うん、すごい」と、「もしこれがなかったら」と想像して何度か震え上がりました。


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