入り口を入ったところで「すみませーん」と声を上げると、事務所らしき部屋のドアから私たちと同世代くらいの男性が出てきました。
「見学ですか、どうぞ」と、にこやかに温室の入り口を案内してくれました。中にはやっぱり私たちしかおらず、またしても貸し切り。今回は貸し切りが多い、図らずも贅沢な旅になりました。
「この、雑多な植物でごった返している感じがいいね。人工のジャングルみたい」
妹が、通路に侵入しっぱなしの木の枝を跨(また)ぎながら言いました。天井のシートは剥がれ、斜めに倒れた木もそのまま、荒れ果てた雰囲気がまたかえって情緒があって、熱帯植物のおもしろさを際立たせていました。
酸っぱいものを甘くするフルーツ
無料でこんないいものを見せてもらって、これは何か還元せねばと併設されたカフェに行きました。
「マンゴージュースと……、あとこの、ミラクルフルーツ体験を2人分ください」
入り口で会ったオーナーに私が注文を告げると、「マンゴーもミラクルフルーツも、うちの植物園で採れたやつですよ。今はもう時期が過ぎたので、冷凍したものだけど」と、教えてくれました。
客は私たちだけなので、どちらもすぐに運ばれてきました。
ミラクルフルーツとは赤い小さな実で、これを食べると、そのあとに食べた酸っぱいものを甘く感じるという不思議なフルーツです。昔、一時期話題になっていたので、私も妹も存在を知ってはいました。でも、食べるのは初めてです。
「マンゴージュースは、先に飲んじゃったほうがいいです、変に甘くなっちゃうから。で、そのあとレモンを齧(かじ)ってレモンの酸っぱさを確認してください。それからミラクルフルーツを口の中でじっくり時間をかけてなめながら食べて、再度レモンを齧ってみてください。パイナップルも。びっくりするから」


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