「父から『虐待を受けていた』、と言い切っていいのかわからないし、言い切ることに強い抵抗を感じる。家庭の問題で声を上げることは、自分の首を絞めることになってしまう気がして、断定するのが怖くなってしまった」
メッセージにはこんなことが書かれていました。当連載の取材応募フォームから、智史さん(仮名・20代)が送ってくれたものです。
智史さんは幼い頃から父親による激しい暴言や、ときには暴力も受けてきました。母親など周囲に助けを求めても「大げさだ」などと言われ取り合ってもらえず、声を上げるのが怖くなったといいます。
今も自分がされたことをどう捉えていいかわからない、という智史さん。彼がよく訪れるという都心から少し離れた喫茶店で、話を聞かせてもらいました。
怒り狂い、皿を投げ…
怒り狂った父親が激しい勢いで皿を投げ、子どもたちは部屋から退避するように母親から促される――。そんな光景を智史さんは今でもよく思い出します。おそらく5歳頃の記憶です。
父親は社会的地位の高い仕事をしていましたが、感情の起伏が激しく、突然不機嫌になってどなりだすような人でした。暴力こそ少なかったものの、ものを投げることはよくあり、智史さんの持ち物を階段の上から投げて壊したこともありました。


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