25年8月には、俳優の若葉竜也さんの特集上映を開催。本人が舞台挨拶に訪れたこの時も、大変な混雑になった。
「彼がスレッズに『もしかしたら別府行くかも』と投稿したら、北海道から沖縄までいろんなとこから問い合わせの電話が鳴りやみませんでした。隣の喫茶店からギターを借りてきて舞台で歌ったり、すごいサービス精神が旺盛な方でしたね」(実紀さん)
95歳の館長の夢
現在95歳にして、上映する映画はだいたい観ているという照さん。「今も恋愛映画が好きなんですか?」と尋ねたら、「そうですね、年を取ったら、少々刺激の強い映画やないとピンとこないよね」と微笑んだ。冒頭に記したように、最近はインド映画がお気に入りで、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』は何度も観たという。
インド映画の上映時間は長い傾向がある。『バジュランギおじさんと、小さな迷子』の上映時間は2時間39分、『RRR』の上映時間は約3時間だ。その体力と集中力はどこから来ているのだろう?
「やっぱり、温泉と映画やな」
照さんも、ほぼ毎朝、お気に入りの市営温泉に行く。朝一番に行くと混んでいるので、一段落した8時ごろに向かうと、広々とした湯船に浸かれて気持ちいいそうだ。
映画は「いい役者を見ると、若返る」。照さんはきっと、父の弁助さんに連れられて映画館に通った頃から変わらず、好奇心いっぱいの目で映画を観ているのだろう。
最後に、別府ブルーバード劇場をもっとこうしたい、もっとこうなったらいいというのはありますか? と聞いた。照さんは、少しテレたような、でも少し寂しそうにも見える表情でこう言った。
「中途でやめてしまったけどね、前みたいに映画を観ながら軽食ができるような映画館になったらいいなと思う」
照さんの夢は、早世してしまった夫、昭夫さんのアイデアをもう一度実現することだった。このインタビューは当初、映画館のなかで行う予定だった。しかし、上映前の準備があり、ロビーの片隅で話を聞くことになった。僕と照さんが座っていたのは、偶然にも「もうボロボロなのに、捨てられなかった」という昭夫さんが買い揃えた椅子だった。


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