こうした強硬な発言の裏で、王毅氏と岩屋氏の会談は、高市氏の対中強硬姿勢や頼りにならないトランプ氏への過度な依存を「間違い」だと考える日本国内の勢力にアプローチする試みでもある。岩屋氏や石破茂前首相らは、首相の対中政策に明確に反対しているグループに属する。
さらに興味深いのは、今井尚哉内閣官房参与が『週刊新潮』のインタビューで、高市氏に対し台湾に関する発言の撤回を求め、「すべてをアメリカに依存しない」戦略的視点を持つよう呼びかけたことだ。
中国で開かれる次回のAPEC首脳会議は、関係改善の窓口となるかもしれない。しかし、中国によってますます孤立させられつつある日本が行動を起こす必要がある。
中国の「歴史利用」は今に始まったことではない
現在の駆け引きがどう展開するにせよ、中国による戦時の過去の利用は決して新しいものではないことを理解することが重要だ。私たちがスタンフォード大学で行った戦時の歴史的記憶の形成に関する比較研究では、中国共産党が過去数十年で、国民党との闘争に焦点を当てた物語から、愛国主義的な物語へとシフトさせてきたプロセスを詳細に明らかにした。
この愛国主義的物語において、戦争は二重の目的を果たしている。
第1に、現在の中国指導部が「国連の設立を助け、グローバルな『反ファシズム』闘争の一翼を担った大国」としての役割を担うことを可能にする。そして第2に、日本侵略者に対する統一された中国国民の闘争を強調し、自らをその戦争の勝利者であると主張することだ。
「中国では、第2次世界大戦における自国の苦難と全体的な勝利への貢献が十分に評価されていないという思いが強まっている」と、戦争と中国の記憶に関する重要な著作を持つ歴史家のラナ・ミッター氏は、2020年の『The Wire China』のインタビューで語っている。「第2次世界大戦により、国家は『これこそが中国が自立し、侵略に立ち向かうことができた瞬間だ』と言えるようになったのだ」。
ミッター氏は、最近ヨーロッパで開かれたセミナーで「近年、中国は戦史や国連の歴史を含む歴史を利用して、45年以降の『中国によるグローバル・リーダーシップ』の正当性を主張している」と語った。そのメッセージは、現在の世界秩序の混乱の中で、中国は45年に秩序を創出したときと同じ役割を果たすことができる、というものだ。


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