有料会員登録
政治・経済・投資

トランプを取り込む習近平の思惑…"台湾発言"や歴史観で強硬姿勢を崩さない高市首相を狙う、中国の《歴史戦》の凄み

9分で読める
トランプ大統領 習近平国家主席
習氏の思惑どおりに進んだ米中首脳会談だった(写真:新華社/アフロ)
2/5 PAGES
3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

グローバル・リーダーシップの主張にとどまらず、中国は戦時の記憶を日本批判に向けることを躊躇していない。

昨年9月、中国はロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩総書記が出席する大規模な軍事パレードを開催し、抗日戦争勝利80周年を盛大に記念した。習氏はこの場を選び、「中国共産党のイニシアチブによって結成された抗日民族統一戦線」と「対日戦争」を改めて強調した。

南京大虐殺、旧日本軍の731部隊を描いた映画を公開

この式典に合わせて、中国の映画業界は2本の洗練された超大作映画を公開した。これらは中国国内だけでなく、Netflixなどのストリーミングサービスを通じて世界中に配信された。

『Dead to Rights』は南京大虐殺を比較的芸術的に描いた作品だった。しかし、中国や外国人の囚人に恐ろしい人体実験を行ったことで知られる旧日本軍の生物・化学兵器部隊を描いた『731』は、直接日本を標的にしたものだった。日本人を「邪悪な野蛮人」として描く描写や、アメリカがこれらの戦犯を助けたという描写がどぎつく描かれていた。

この対立は、国連では一見地味な問題として表面化した。

国連憲章には、日本とドイツを指す「敵国」に触れた条項がある。第2次世界大戦の連合国が、旧枢軸国に対し、安全保障理事会の事前承認なしに行動できるとする内容だ。軍国主義の復活に備えた一時的な安全策としてつくられたが、時代遅れで効力もないと広く認識されている。

国連総会は2度、この条項の削除を決議した。だが、実現には憲章の改正が必要で、中国とロシアが阻止できる。

高市首相は国連に対し、この条項の削除を求めた。彼女の国連総会演説の後、中国の孫磊(スン・レイ)国連次席大使は同条項の存在を擁護し、「日本の再軍備が地域および世界の平和と安定に対する現実的な脅威となっている証拠だ」と反論した。

こうした「歴史戦」は数十年続いており、中国と日本双方の外交政策のニーズに応じて変化してきた。中国は再び「歴史カード」を切ったが、日本がどう対応するかはまだわからない。

日本にとって、トランプ氏のもとでのアメリカはますます頼りにならない存在となりつつある。しかし、これがどう展開しようとも、過去が本当に忘れ去られることは決してないのだ。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数