商学部の単位取得のため、近くの児童養護施設でボランティアをすることになった。事前に調べると、施設には虐待を受けるなど、家庭にさまざまな事情を抱えた子どもたちがいることがわかった。
「子どもたちを助けに行くんだ」
どこかおこがましい気持ちで児童養護施設を訪れた、と松本さんは振り返る。ところが実際に出会った子どもたちは、そのイメージとはまったく違った。生き生きとしていて、みずみずしい生命力にあふれていた。
なかでも忘れられないのが、ある少女が絵を描いていたときの光景だ。「おはよう」とでも挨拶するような自然な笑みを浮かべながら、さらりと素敵な絵を描いていた。なぜだか脳裏から離れないその笑顔こそが、会社名の由来である。
当時の松本さんは、大学を横断する雑誌編集チームに参加し、雑誌づくりに没頭していた。坂本龍一さんをはじめ、自分なりのものの見方を持つクリエイターたちを熱心に取材。彼らに魅力を感じる一方で、自分自身はどう生きるのかを模索していた。悩み多き時期に出会った子どもたちは、松本さんのものの見方を大きく変えていく。
「子どもたちと接することで、自分のなかで開かれた瞬間があって。元気を与えてくれるし、なにより創造性を持っていて豊かな存在だと感じたんですよね。子どもたちというのは、すごく興味深いなと」
大人が一方的に助ける存在だと思っていた子どもたちに、むしろ自分のほうが心を動かされた。松本さんはここから「子ども」という存在そのものに強く引かれていく。
0〜6歳の子どもたちが過ごす環境
とくに関心を持ったのが、0〜6歳の子どもたちが過ごす環境だった。この時期にどのような環境で育ち、どのような人と関わるのかが重要だと知り、幼稚園や保育園がつくっている環境を自分なりにリサーチするようになった。


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