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70代は無理して何とか、80代はその無理がきつくなり、90歳で「もうやめた」——91歳・阿刀田高「知的へそ曲がり」のすすめ

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直木賞作家阿刀田高さんの書斎
直木賞作家阿刀田高さん。91歳の作家の書斎(撮影:谷川真紀子 )
  • 蜂谷 智子 ライター・編集者 編集プロダクションAsuamu主宰
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「ユーモアは、必ずしも笑いと結びつくものではありません。自己防衛の要素もある。真正面からぶつからず、別の方法でうまくごまかす。上手にごまかす道は、人生経験を積まないと、なかなか見えてこない」

たとえば、死刑囚が刑場へ運ばれるときに「今日はいい日和だな」と言う。日本語でいう「引かれ者の小唄」も、見方を変えれば、過酷な現実にのみ込まれないための自己主張なのだという。

「『俺はこんなことには、やられない』と、あえて示す。ユーモアにはそういう面があり、生きていくうえで役立つときがある。逃げであったり自己主張であったりもするけれど、かけがえのない価値を持つときもある。なかなかのくせ者ですよ」

そして、そんなユーモアを持つには、「いつも真正面からだけものを見ない、少しへそ曲がりなところがないとだめかもしれません」と、阿刀田さんは言う。

応接間の壁。村上豊の絵画が飾ってある(撮影:谷川真紀子)

知的へそ曲がりの、すすめ

91歳になった今も、阿刀田さんの言葉には、そんな「へそ曲がり」ゆえのユーモアが顔を出す。深刻な現実を、ほんの少しずらして眺める。記憶が衰えていくことも、「海馬が勝手に捨てている」「この頃、少しやりすぎじゃない?」と海馬との問答にしてしまう。

そんなふうに物事を少し違う角度から眺める力を支えてきたのが、阿刀田さんの旺盛な好奇心なのかもしれない。

「知的好奇心は強い方でした。少し気になると、一生懸命調べる。それを何かにしようというのではなく、とにかく調べたい。それだけです」

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