特に有用とされているのはプロテオーム時計である。
というのは、トランスクリプト=RNAというのは、細胞外に漏れ出ることがあるとはいえ、基本的には細胞内に存在するものだ。なので、血液を用いたトランスクリプトーム解析は、主として血液細胞だけを対象にせざるをえない。
それに対し、タンパク質はいろいろな臓器から分泌されたり漏れ出たりして血液中を流れるので、血漿(血液の細胞以外の成分)のプロテオームには多くの臓器の豊富な情報が含まれている。
血漿プロテオーム解析で作られた「臓器年齢」の時計
「Organ aging signatures in the plasma proteome track health and disease(血漿プロテオームにみられる臓器老化の特徴は、健康と疾患を反映する)」というランドマーク的な論文がある。
2023年にネイチャー誌に発表されたもので、約5700人の解析から、脳、心臓、動脈、腎臓、肝臓、肺、筋肉、膵臓、腸、脂肪組織、免疫系という11系統の臓器あるいは組織の「時計」を作ったというのが内容だ。
いいかえると、それぞれの臓器の「年齢」を血漿プロテオーム解析で明らかにできたというのである。
その結果、老化の進み具合は臓器ごとに異なっており、約20%の人では、少なくとも一つの臓器が著しく老化していることがわかった。
また、腎臓の老化は糖尿病・肥満・高血圧などの代謝疾患と、心臓の老化は心房細動や心筋梗塞と、筋肉の老化は歩行障害と関連するなど、「老けている」と判定された臓器と病気がおおむね対応していた。


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