コミュニケーションにはそれなりにコストがかかるので、コミュニケーションを取らなくてもいいという感覚になると、つながりは減ってしまいます。
つながりを減らす大きな原因は、「お金」です。お金を渡せばカタが付くと思うようになると、コミュニケーションを取らなくてもよいとなっていきます。
お金は間接的な協力を促す手段です。お金によって大きな集団で協力作業を行うことはできますが、個々の人間は「お金と自分」という関係になり、「向こうにいる人」にはあまり気が回らなくなります。
人間は、狩猟採集時代のように他者とつながった状況を、ある程度「幸せ」と感じる傾向を、進化的に身につけています。一方で、サルの時代のように、一人で勝ち抜いてボスになることを喜び、幸せを感じる傾向も持っています。
要はそのバランスなのですが、その中で、何が理想的かは基準を決めなければなりません。「どうすれば平均的により幸せになるのか」なのか、「どうすれば社会全体で生産性が上がり、個々の人間もそう苦労しないという状況になれるのか」なのか。問題設定をはっきりさせなければ、方向付けもできないでしょう。
幸福感はなぜ長続きしないのか
本書にも書かれているように、幸せは、青い鳥のように探し回っていたらここにあったというような種類のものです。
そもそも動物は、動かないことが一番良い状態です。エネルギーを消耗せず、危険を冒して狩りに行かなくても生きていけるなら、生物としては良い。そして、そういう状況になることを求める仕組みとして、幸福感も出来上がっているのです。
「お金をたくさん稼げて、もう働かなくていいんだと思えたら幸せだろうな」と思うように、止まっていられない状況から、止まっていられる状況になりそうな時に幸福感を感じるわけですね。
ところが、実際に止まっていられる状態になると、もう幸福感を感じる必要はなくなるので、消えてしまいます。現状を改善して、止まっている状況や、ずっと寝ている状況になれるようにするための感情が、幸福感なのです。
そもそも意識自体がそのようにできています。意識があるということは、生き残るための挑戦を続ける状態ということです。植物には意識は必要ありませんが、人間は、他の生物に比べて非
進化論や進化心理学は説明能力が高く、世の中のたくさんのことがクリアに見えます。この考え方がいまだに世間で常識になっていないのは不思議です。
(構成:泉美木蘭)


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