進化心理学は、1990年代にアメリカで心理学のフィールドとして注目され、発展しはじめました。実は、生物学では、70年代に「社会生物学」と呼ばれる同様の考え方がすでにありましたが、「人間は神に育てられたのだから他の動物とは違う」という考えが強くあり、特に教育学系ではタブー視されてしまったのです。
教育学は、人間は何でも教育できるものだと考えがちです。しかし、生物学的には違います。遺伝子にはバラエティーがあり、人によってうまくやれることが分かれるという多様性があります。そもそも人間は分業する生物です。互いに得意なことを分業する方向へ舵を切るのが、社会的にも良いということになるはずです。
教育プログラムもそれを前提として考える必要がありますが、生物学的には当たり前のことが、教育学ではそうはなりません。誰でも一生懸命やればうまくいくというような平等を求めているからです。
行動も遺伝する
「身長や体重は遺伝するが、行動は遺伝するのか」という議論があります。生物学では、遺伝するというのが当たり前です。そうでなければ生物の本能はあり得ません。なぜ馬の子供は生後2時間で走れるのでしょう? 何も教わっていないのは明瞭です。
一卵性の双子と二卵性の双子を比較した研究では、一卵性の双子の方がよく似通っていて、行動面も遺伝子で駆動されており、それは身体の遺伝と同じように世代で継承されているということが発見されています。
社会の影響も受けますから、全てとは言えませんが、行動は過去の環境適応から来ているというゴールデンルールに従えば、人間関係などほとんどのことを進化心理学で説明することができるのです。
最近は、行動経済学の分野でも「生物学的な背景から人間はこういう場面で感情に流され、このような結果になる」というような議論が一般的です。


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