この新戦略を象徴したのが、最近のクレムリンでのプーチン演説だ。こう威嚇した。「一部の欧州指導者はロシアとの戦争を準備しようとあからさまに宣言している。私の意見では、ロシアとは一緒に友好的な関係を作ったほうがよい。さもないと、ロシアは欧州に対応しないといけなくなる」。アメリカを含めた「西側」というフレーズは使わず、欧州を狙い撃ちした演説だった。
一方、欧州側にとっては、ロシアのハイブリッド攻撃に対する対応で悩ましい問題もある。先述したようにフォンデアライエン欧州委員長はハイブリッド攻撃へのプレイブック策定を呼び掛けたが、非軍事的な攻撃に対し、実際どのように対抗するのかについては、具体策の決定に落とし込むのは容易ではないからだ。
追加的制裁という手も考えられるが、著しい効果は期待できないだろう。原油を輸出するロシア船舶の主力ルートになっているバルト海を封鎖するという案もあるが、果たして対ロ姿勢で温度差のある欧州内部で合意できるのか。欧州の決断が問われている。
対応苦慮の中、欧州からは強硬な対抗措置を求める声も
こうした中で、欧州における対ロ強硬派の代表格であるボリス・ジョンソン元英首相が9月上旬、キーウで開催された国際会議でこう吠えた。「もうハイブリッド攻撃などと言って、自分たちを騙すのはやめるべきだ」。ジョンソン氏が言いたかったのは、ハイブリッド攻撃と認定することで、欧州が強い対抗措置を避けるという縛りを自らに掛けてきたことだ。今後は軍事的措置も含め、何らかの強硬な対抗措置を行うべきとの考えを示した。
いずれにしても、プーチン大統領がこのままハイブリッド攻撃を拡大すれば、欧州との間で緊張がさらに高まるのは必至だ。欧州が強硬な対抗手段に訴えれば、偶発的な軍事衝突が起こる可能性も否定できないだろう。欧州は27年に向け、ロシアとの対峙姿勢で明確な意思一致を迫られている。


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