有料会員登録
政治・経済・投資 #ホットイシュー

「欧州VSプーチン」ロシアのハイブリッド攻撃頻発でEUが対決姿勢を鮮明に…高市政権の対ロ外交はこのままでいいのか

7分で読める
対立が緊迫化してきたロシアのプーチン大統領(左)と欧州連合(EU)諸国(写真:ブルームバーグ)
  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長
2/4 PAGES

フランスのマクロン大統領は緊急会議を招集し、インフラ防御を指令した。ルッテ北大西洋条約機構(NATO)事務総長は9月半ばに次のようにロシアを牽制した。「われわれには、ロシアのハイブリッド攻撃への完全な対応策がある」。

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は、対ハイブリッド攻撃戦略の早急な制定の必要性を訴えた。「これが欧州にとって新常態だ。EUは、ハイブリッド攻撃への対応手順(プレイブック)を定める必要がある」。

こうした欧州での危機感の高まりの中、具体的な警告が飛び出した。ウクライナの隣国、ポーランドのトゥスク首相だ。9月17日に同首相は、次のように欧州に警鐘を鳴らした。

偶発を装って、ポーランドやルーマニアを攻撃か

「わが国の情報機関が得た情報によると、ロシアはNATOの東部の加盟国に対し、ドローンやミサイルによる攻撃を行い、こうした攻撃は偶発的事故だったと主張する計画だ」。東部の国とは、ポーランドやルーマニアなどを指すとみられる。

では、プーチン大統領はなぜ今、欧州へのハイブリッド攻撃を激化させているのか。それは、ウクライナへの最大の軍事支援元である欧州に圧力をかけることで、各国を動揺させ、支援継続をしり込みさせるためだ。

現在、ウクライナとの停戦や和平を拒み、侵攻作戦を続けるプーチン大統領だが、今年3月以降は、地上戦でのウクライナ軍の頑強な抗戦により、ほとんど占領地を拡大できていないのが実情だ。逆にウクライナ軍は今年5月から東部ドネツク州北部で秘密裏に開始した反撃作戦「ビバルディ」によって、要衝リマン地区で占領地を奪還し始めている。プーチン大統領がロシア軍に命じていると言われる今年末までのドネツク州制圧など不可能と言っていい。

現在ロシア軍は、市街地やエネルギー施設への弾道ミサイルやドローン攻撃で、ウクライナ側を苦しめている。しかし、筆者は、長距離ドローン攻撃などでロシアの石油精製施設への攻撃を続け、ロシアの継戦能力を奪いつつあるウクライナ側のほうに引き続き戦略的な優位性があるとみている。

こうした情勢からみて、欧州へのハイブリッド攻撃拡大は、プーチン大統領にとって、戦局好転に向けた必死の対欧州威圧戦略とも言えよう。

3/4 PAGES
4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数