とはいえ、何よりも会話が弾むのは人気のメニューのとき。
「皆が大好きで、お部屋の1人の食事ではなかなか作らない手の込んだメニューのときは、自然に会話が生まれますね。野菜の天ぷらもそうですし、茶碗蒸しも大人気です。『見て、大きな銀杏が入ってたわ』『私は小さいの2つ』とかお隣同士の会話に、お向かいの方も入ってくる。う巻きが出た日は全員が、うわ~!と(笑)」(小森さん)
71歳と91歳はそんなに大きな差はない
おでんせの居住者は家族でも親戚でも旧知の友人でもないし、寮や下宿のような空気でもない。もちろん上下関係もなく、下は71歳、上は94歳、平均年齢86歳の居住者がひとつのテーブルを囲む。
「0歳と20歳だったらすごい差ですけれど、71歳と91歳はそんなに大きな差はないんですよ。年をとってみればわかります(笑)。下の年齢の方の気持ちまで下りていけるし、上の方にも合わせられる。人生を長く生きてきたからできるやさしい空間ですね」(小森さん)
前出の後藤さんはユーモアたっぷりに言う。
「夕食だけみんなでっていうのがいいんです。老人ホームみたいに3食ついてたら、私は“食事のおばけ”にやられてしまいます。これは恐怖ですよ。作っていただいたものは食べねばならぬという恐怖ね」
皆でいただく1日1回の夕食は全員がほぼ完食。食べきれない人は居室に持ち帰り、翌日の朝食かランチにしてきちんと食べき切る。
ちなみにおでんせは居室から廊下に出たら、そこは外の社会というきまりがある。つまり、部屋着で居室の外に出るのはNG。
「そういう意味でも皆でいただく夕食の習慣は、生活のメリハリになっていると思います」(小森さん)


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