「唯一、全員が顔を合わせる場なので、お夕食は大事な安否確認とコミュニケーションの場になっています。
安否確認なんていうと大げさのようですが、皆、高齢ですし、お部屋にいれば完全にひとり暮らしの世界なので、誰が何をしているのかわかりませんからね。欠食届を提出していない方が食堂に来なければ、『どうしたの?』って、お部屋に声をかけにいきますし、夕食を食べにくることで、元気ですって皆に知らせることができますよね」(小森さん)
おでんせは若い世代のシェアハウスのように、食後や休日に自然発生的に共有スペースに集まって、おしゃべりを楽しむような時間の過ごし方はあまりない。ベースは居室でのひとり時間だ。
10人という少人数でも濃密になりすぎず、人生の後半を心地よく暮らすには、1日1回、夕食の食卓で顔を合わせるくらいがちょうどいい距離なのだろう。
「ふつうの家庭の晩ごはん」が1人分ずつお膳に並ぶ“幸せ”
取材した日のメニューは、かぼちゃのシチュー、エビマヨとレタスのチョレギサラダ、ポテトサラダ、三つ葉のおひたし。ご飯ものは小ぶりのいなりずしと一口サイズに巻いた彩りそうめん。食後の果物は桃だった。
家族のためにご飯をせっせと作り続けてきた、主婦歴半世紀を超える居住者にはおなじみの、“ふつうの家庭の晩ごはん”が1人分ずつお膳に並んでいる。夕食は事務局のスタッフが1カ月分のメニューを決めて、3人の調理スタッフが曜日別にローテーションを組み、毎日おでんせのキッチンで作る。
取材日の調理担当の須田さんは、大のおでんせファン。ゆえに、「私がおでんせの居住者だったら、食べたいなと思うものを作っています」と言う。皆、野菜が好きなので、野菜料理が中心になるが、敷地内にはオーナーが管理する畑があり、旬の新鮮な野菜は事欠かない。


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