今回の『風、薫る』のシマケンは、言わば「2(メンター型)」と「3(負荷型)」のハイブリッドであった。
「有害な男性性」とされる要素は徹底的に排除され、主人公の意思決定にもほとんど干渉しない。しかしその結果、主人公との精神的な結びつきまで希薄になってしまった。
なぜか、有害な男性性はない代わりに、ややりんのストーカー的な感じも描かれた(しょっちゅういきつけの菓子店で待ち伏せ?していた)ことにも、視聴者は若干引いてしまったところがある。
さらにシマケンは、前進し続ける主人公とは対照的に、自身の生きる道を見いだせず迷走する存在として描かれた。「何者でもない」コンプレックスを持ち続け、主人公が「それでも彼と共に歩みたい」と思い始め、ともすればヒモになりそうな状況にもなる。
極めつけは、終盤(残り2週間)での突然の胃がん手術という展開だ。看護ドラマとして病を描く必然性は理解できるものの、それまで伏線や予兆もなく挿入された唐突な悲劇的試練に、視聴者は戸惑いを覚えることとなった。
“恋愛描写”少なめでも、「#俺たちの菅波」ブームが起こった
恋愛描写をそぎ落としながらも、理想的なパートナーシップの例として大成功を収めた例として、思い起こされるのが『おかえりモネ』の菅波光太朗(坂口健太郎)だ。SNS上で「#俺たちの菅波」というハッシュタグが生まれるほどの空前のブームを巻き起こした。
菅波もまた主人公を支える「2(メンター型)」の属性を持つが、シマケンと違ったのは「互いの専門性や価値観を持ち寄って対等に議論し合える関係だったこと」である。時にやや毒のある厳しめな言葉を吐きながらも、主人公の思考を深めさせた。ふたりの到達点は単なる「恋愛成就」ではなく、「互いの精神向上」にあった。


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