筆者は過去に朝ドラに関する書籍を上梓しているが、その際の取材で、実在の雑誌編集者をモデルにした『とと姉ちゃん』(2016年度前期)の制作統括は、オリジナルの恋愛エピソードを途中で入れたことに対して「ドラマには恋愛が必要である」と語っていた。そのとき、筆者は作り手側が意識的に朝ドラに恋愛描写を組み込んできた歴史があると感じた。
あれから10年。現在の視聴者からは「恋愛描写よりも、仕事や自立のプロセスをもっと丁寧に描いてほしい」という声がSNSなどで見かけられるようになった。この10年で恋愛ドラマ全般の需要が変化し、女性の自立や多様な生き方が重視されるようになった影響が大きいだろう。
「すてきな恋愛をして結婚がゴール」という人生すごろくの価値観が解体され、恋愛しない自由、結婚しない自由が広く浸透した現代において、シマケンという本命らしい相手役という存在は、どこか宙に浮いてしまったと言える。
朝ドラの「相手役」の属性は3つに分類される
ここで、近年の朝ドラにおける主人公の「相手役」の属性を整理してみたい。大きく以下の3つに分類できる。
『あんぱん』(柳井嵩/北村匠海)
『ばけばけ』(ヘブン/トミー・バストウ)
『まんぷく』(立花萬平/長谷川博己)
『マッサン』(亀山政春/玉山鉄二)
『ゲゲゲの女房』(村井茂/向井理)
実在の偉人夫妻をモデルにした作品に多い。夫婦で支え合う構図をとるものの、夫の業績や個性が強力すぎるため、主人公である女性の存在感がかすんでしまうリスクをはらんでいる。


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