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政治・経済・投資 #小幡績教授のアフターエコノミクス

これこそ〈投機家ケインズ〉が本当に伝えたかったこと…落ちるナイフを誰もつかまない市場を一変させるショック療法

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同じ投機家だからわかる本質(ケインズの写真:Hulton-Deutsch/Getty Images、『一般理論』:編集部撮影)
  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
※本記事は2026年9月22日6:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

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ケインズの『一般理論』の解説はありとあらゆるところでなされてきた。専門家でない人々も、マクロ経済学者も経済学史という学問の歴史を専門とする人々も、皆が精力を注ぎ込んで理解、分析、解釈、再構築してきた。

しかし、ケインズの本当の意図については、議論は錯綜、混乱したままである。誰も決定打を出せずにいる。

そこで、今日は、居酒屋における結論を出そうと思う。

財政支出、金融理論、どちらに重点を置くにしても間違い

専門家の間では、『一般理論』の「有効需要、乗数効果という財政政策」の部分に重きを置くか、「流動性選好」のほう、金融理論のほうがキーなのか、論争が行われてきた。そもそも、ケインズの後継者あるいはケインズ経済学を発展させていると自認している人々の間ですら、研究や理論モデルの重点は2つに分かれていた。

ヒックスをはじめとするアメリカンケインジアンは有効需要からの財政支出が中心であり、その後のテキストブックは、彼らのIS-LMモデルがケインズと説明してきたから、1990年ごろまでは、ほとんどのケインズ解釈はこちらとなっていた。

ただ、学問的には、70年代から80年にかけて、合理的期待旋風が吹き荒れ、ケインズは死んだ、とされ、とくに、アメリカでは、大学院のテキストブックからIS-LMモデルは完全に消えたほどだった(その後、ニューケインジアンが登場するわけだが、私としては、それはケインズとは無関係な代物だと思っている)。

一方、ケンブリッジ学派の名残をとどめるイギリスでは、「流動性選好」が重要だという認識が、ケインズの後継者たちをはじめ、専門家の間では多数派だった。しかし、あくまでマイナーな学派として、世間からは忘れ去られていった。

この「流動性選好」が再び脚光を浴びたのは、逆説的だが、アメリカからだった。いや、ショーや見せびらかしが大好きなアメリカだからこそ、ケインズの真意を考慮せずに、政策を売り歩くために、「流動性選好」を利用したのだった。そこでは、「流動性選好」ではなく、すでにヒックスの時にも、IS−LMモデルや政策の宣伝のために利用された概念、「流動性の罠」のほうだった。

もちろん、その主役は、注目を浴びることが大好きなクルーグマンだった。日本経済が、ゼロ金利制約に直面し、「流動性の罠」により、金融政策が無効になってしまっている。だから、インフレにするべきだし、インフレになれば、駆け込み需要的に、値上がり前に買っておく、という消費が殺到し、不況から脱出できると主張した。

日本に害をもたらした「流動性の罠」論

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