さて、いま述べている話題に関して、実は上記の『世界幸福報告』は、各国の幸福度を次のような6つの要因によって説明している。
②一人当たりGDP
③健康寿命
④人生の選択における自由度(freedom to make life choices)
⑤寛容性(generosity)
⑥政府の腐敗(corruption)に関する認識
これらは心理学分野等の様々な研究から、幸福度との関連性が強いものとして一般的に浮かび上がってきた要因から抽出したものである。
そして日本の場合、ある意味でパターンがはっきりしており、すなわち健康寿命(147カ国のうち2位)や一人当たりGDP(28位)、政府の腐敗に関する認識(29位)では比較的良好だが、
●人生の選択における自由度
●寛容性(寄附行動など、自分が属する集団の外にいる者への支援)
という要因についてはかなり低く(それぞれ44位、85位、122位)、幸福度に関する全体の順位を押し下げているのだ。
「都市型コミュニティ」という視点
では、これら3つの要因が日本において「低い」というのは何を意味しているのだろうか。
ポイントは次の点にある。すなわち、これらはいずれも人と人の「社会的な関係性」に関する要因であり、実質的には、私がこれまでの著書の中で論じてきた「都市型コミュニティ」と呼びうる関係性が日本においては未成熟であるという点と関係していると思われる。
「都市型コミュニティ」とは、この後で詳しく説明するが、大きく言えば「個人が独立しながら、集団を超えて(ゆるく)つながるような関係性」のことを指している。
この場合の「集団」には家族や企業組織などが広く含まれるが、都市型コミュニティ的な関係性が弱いと、そうした集団の「内部」で人と人の関係性やつながりが“閉じて”しまいがちになる。
その結果、そうした集団を一歩離れると“誰も助けてくれない”という状況になり、個人は特定の集団や組織への依存度を高めると同時に、集団や組織を離れた活動は行いにくくなるだろう。


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