社内でも社外でも、いっしょに仕事をしている人には、それぞれの分担や役回り、得意な分野、不得意な分野、積み重ねてきた経験や知見に違いがあります。そして、違いがあるからこそ分業が成立しているということでもあります。
正しく説明する力は、その間をつなぎ、互いの強みを共鳴させるための能力です。誇らしげに論破して気持ちよくなるために「説明力」を使うのではなく、説明力を磨き、いろいろな人の力を借りて大きな仕事を成し遂げ、その成果を誇りましょう。
話の脱線を防ぐ「シェアの法則」
とはいえ、いったん説明を始めた後、展開が迷走してしまうというケースは少なくありません。これは、必ずしも説明している側に責任があるわけではなく、説明を受けている側に原因がある場合も考えられます。
どちらかが説明のテーマを見失ってしまうと、もう一方は強いストレスを感じます。いくら時間をかけて説明しても先に進まなかったり、話が行ったり来たりするために、貴重な時間を非効率に使わされるからです。
「結局、今、何の話をしているの?」「これ、何のための時間なんだよ……」と思われた時点で、説明としてはすでに失敗しています。まるで目的地も到着時間も見えない旅行のようなもので、友人同士ならまだしも、出張ならば最悪です。
実はこれ、説明を始める段階で手を打つだけで、かなりの確率で回避できます。そのためには、説明の冒頭で、
「今日は○○の件について承認をいただくためのご説明をします」
「先ほど××社を訪問したんですが、そのときの様子と今後心配な点についてご相談したいのですが……」
などと、「これから説明するテーマ」をシェアすること。何の話についてなのか、確認なのか報告なのか相談なのか提案なのか、明確にしておくことです。何も特別なテクニックでもなく、ごく当たり前と思われるかもしれませんが、このたった一言を冒頭に忘れず加えることで、「現在行われている説明のテーマ」が強く共有されます。
共有されると、双方にメリットがあります。説明する側はもちろん、最初からそのテーマについて話すつもりでいるのですが、しっかり意識していないと、途中から話が変わってしまったり、緊張したり焦ったりして、重要なポイントや着地点を見失ってしまう場合があります。冒頭に宣言するだけで自分自身に強く意識づけられます。


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