列車はクライマックスの由良川橋梁に差し掛かる。ここは海の上を列車が飛んでいるかのような感覚になる、一番の見所だ。
実は2人用席は海側を向いて少し斜めになっている。車内の造りにも、こういう細かい配慮が見られるのが観光列車らしさと言える。この座席なども含め、車両デザインをしたのは、数々の観光列車などのデザインを手掛けている水戸岡鋭治さんだ。
「食べて飲んで」じゃないと旅は楽しくない
ところで最近の新型車両は、駅弁を食べるのに躊躇する、ロングシートの車両が増えた。新幹線や特急列車内の座席であれば食べることが可能だが、最近はスメルハラスメントなど、においなどにも気を遣わなければならない時代となった。そういった意味でも堂々と列車内で飲食ができる観光列車は、大変ありがたい存在だ。
水戸岡さんから私の新刊『ひとりで楽しむ鉄道旅 おいしい!観光列車篇』(玄光社)のオビにお言葉を寄せていただいた。
「心地よい空間を提供するだけではない、やっぱり『食べて飲んで』じゃないと旅は楽しくない。そんな思いがずっとあって観光列車の仕事をしてきました。」(水戸岡鋭治)
全く同感である。おいしい料理とお酒を食べて飲んで、すばらしい景色を見ながら列車に乗る。それが観光列車だ。観光列車という特別な空間で味わう食事、車窓から眺める景色は、いつもとはまた一味違う。そして観光列車に乗車するだけでも、立派なひとつの旅なのである。


