群馬県片品村、標高1400mの山あいに浮かぶ丸沼ダム。全国に6基しか現存しない「バットレス」ダムのひとつだ。竣工から90年以上が経った今も建設当初の姿をほぼそのまま残し、地元有志が手作りしたいかだ「トムソーヤ号」に乗って湖上から間近に見られるユニークな体験も相まって、県内外から今も途切れることなく人が訪れる。
なぜこの姿は、壊されずに残ったのか。そして、なぜ人を引きつけ続けているのか。その希少な歴史をたどった前編に続き、答えの手がかりを求めて、実際に現地を訪ねた。管理する人や地元関係者への取材から見えてきたのは、地元の情熱だけでは語れない、もう少し複雑な事情だった。
「トムソーヤ号」でいかだを漕ぎ出す
丸沼ダムを正面から見るには、国道120号からいったん大尻沼の湖畔まで下りなければならない。木の根が張り出した急な遊歩道を、木々に囲まれながら下っていく。
湖畔で出迎えてくれたのは、片品村観光協会専務理事の倉田剛さんと、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー沼田事業所の中川昭博所長だ。目の前には、地元の有志団体「丸沼を愛する会」が手作りしたいかだ「トムソーヤ号」が浮かんでいる。


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