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まるで秘境探検!ぐらりと傾く手作りいかだで湖を渡り、全国で6基だけの《異形のダム》へ…間近で見た"圧巻の光景"

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手作りいかだ
湖畔で待つ手作りいかだ。ここから“小さな冒険”が始まる(写真:筆者撮影)
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標高1400mの高地にあるこの場所では、冬季の凍結によるコンクリート表面の劣化が特に深刻なため、メンテナンスの手間がなくなるわけではない。そのため竣工後、壁を横方向に支える梁を樹脂系の素材で覆い、劣化を防ぐといった手当てが施されてきた。それでも実際に手を加えているのはダムのごく一部にすぎず、コンクリートを一度打ち足した箇所があるほかは、当初の姿がほぼそのまま保たれているという。

なお、2003年の重要文化財指定後は、形状を変える改修をする際に関係官庁との協議や申請が必須になった。「現状を維持しなければいけないというところがある」。指定は、丸沼ダムに「守られる」立場だけでなく、「維持することを義務づけられる」立場ももたらしていた。

「地元の誇り」というより、日常の風景

地元の人にとって丸沼ダムがどんな存在かを尋ねると、片品村観光協会の倉田さんは少し考えてから、「うーん、特別な思い入れというほどのものは、実はあまりないかもしれません」と笑った。ただし話を続けると、子どもの頃にヌマエビを釣った記憶があるという。特別な文化財としてではなく、物心つく前から当たり前にそこにあった遊び場——丸沼ダムは、地元の人にとって「誇るべきもの」である前に、まず「日常の風景」だったようだ。

大尻沼の透き通った水面。こんな水辺で、ヌマエビを追いかけていたのだろうか(写真:筆者撮影)

もっとも、視野を丸沼ダムから片品村全体に広げると、また違う顔が見えてくる。倉田さんによれば、片品村では民間の人の熱量が高いという印象があるものの、その中心にいるのは必ずしも生まれ育った地元の人とは限らないという。過去には、地域おこし協力隊として移住してきた女性が地元農家で振る舞われる家庭の味に価値を見出して店舗を構えたり、別の移住者の女性が、暮らしの中にある手仕事や知恵を通じて「片品らしさ」を伝えてきたりした。尾瀬戸倉では、旅先のエストニアでスモークサウナに出会った移住者が、その体験を尾瀬の自然に重ね合わせ、サウナを始めた事例もあった。

トムソーヤ号やハイキングコースの整備を思いついたのは、地元の「丸沼を愛する会」のメンバーたちだった。ただし、その中心にいる人物も、もとをたどれば外から移り住んできた一人だ。ペンションブームの頃にこの地に移住し、この地で宿を営んできたのだという。

丸沼は、日光と国道120号一本でつながる立地にある。修学旅行や観光バスのツアーでは、日光観光と組み合わせて群馬側に立ち寄る行程も珍しくない。そうした団体客に、遊歩道と合わせて楽しんでもらいたいという思いが、トムソーヤ号のきっかけになった。

丸沼ダムは通常無人管理で、入り口も閉ざされている。遊歩道で大尻沼の湖畔まで進み横から眺めるか、正面まで近づくか——後者が叶うのはトムソーヤ号あってこそだ(写真:筆者撮影)
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