藤井酒造はSNSに蔵の被害状況を写した画像を投稿し、すでに注文を受けていた顧客に迷惑をかけることを詫びた。
それを見て、全国からさまざまな人が手伝いに駆けつけた。中には、北海道や関東から来た人もいる。皆で泥を掻き出し、ごみを捨て、水で汚れを洗い流した。それでも、元の状態に戻るまでには1カ月かかった。
『GTO』とのコラボレーション…被災した蔵が、支援する側に
ようやく片付けを終えたばかりの藤井酒造に共通の知人の紹介で訪れたのは、『GTO』などで知られる漫画家の藤沢とおるさんだ。まだ生々しく災害の爪痕が残る蔵を見た藤沢さんは「何か協力できないか」と申し出た。
「このときが初対面でしたが、穏やかで気さくな方でした。蔵は復旧できていましたので、地域のために力を貸していただければと、食事をしながら相談しました」(義大さん)
両者のコラボレーションで生まれた日本酒「GTO x RYUSEI THANK!」は、復旧を支えてくれた人たちへの感謝を伝え、売り上げの一部を災害復興と地域活性化のため竹原市へ寄付する酒だ。
藤沢さんが特別に描き下ろした、GTOの主人公・鬼塚英吉に龍勢のジャンパーを着せたイラストがラベルになっている。
しかし、版権の扱いやラベルの制作、醸造の日程調整。準備には時間がかかり、ようやく販売にこぎつけたのは2020年の春だった。だが、販売中の7月に、今度は九州で豪雨災害が発生する。
「このコラボをきっかけに、龍勢を知ってくださった方もいます。全国から助けていただいた恩を竹原市にだけお返しするのではなく、違う地域で苦しんでいる人も支援できないかと考えました」(義大さん)
2人は、同じイラストをラベルにした「GTO × 龍勢 九州豪雨支援 特別純米酒」の販売を9月に開始する。GTOコラボで、竹原市には約130万円、九州には約160万円を寄付できた。被災した蔵が、支援する側に回ったのだ。


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