もちろん、実際の漁獲では予想より多かったり、少なかったりすることはあります。しかし、資源量の傾向についてはある程度わかります。図は、2026年と20年前の資源量を比較しています。サンマの寿命は約2年です。青丸が0歳魚、赤丸が1歳魚で円の大きさは資源量を示しています。2026年は円の大きさが小さく、状態が良くないことがわかります。
しかしながら、日本では昨年のスルメイカの2回にわたる増枠のように、獲らせる方向への圧力やミスリードはあっても、資源減少に合わせて漁獲枠を削減しようという話は出てきません。「予防的アプローチ」といった国際的には常識である行動は見られません。このためさまざまな魚が減り続けています。
黒潮大蛇行は解消されてもサンマの来遊量は少ない
皆さんはサンマがどこで主に漁獲されているかご存じでしょうか。2025年は、全漁獲量16.6万トンのうち、約74%(12.3万トン)が公海でした。上の左の図の赤い海域が公海漁場となります。昨年(2025年)に2017年から7年9カ月続いていた黒潮大蛇行が解消され、その影響でサンマの漁が回復したといった報道が度々ありました。
しかしながらサンマの主な漁場(図の赤と水色)と黒潮大蛇行の影響がある海域との相関性はほとんどないことがわかります。今年も黒潮大蛇行は解消されたままですが、サンマの来遊量は少ないという調査結果となっています。こういったミスリードによる矛盾は枚挙に暇がありません。残念なことに、ミスリードする人たちが主流なので誤解が広がり、資源量の減少による水揚げの減少が止まりません。
魚の資源量に大きな影響を与える「漁業」に対してはあまり触れずに、環境要因や他国の影響にばかり責任転嫁するべきではありません。海水温を上げたり下げたりすることはできませんが、漁業の圧力を減らすことはできます。筆者は、漁業を成長産業にしている国々の関係者と資源管理について話す機会があります。そこで出てくるのは漁業の圧力をどうやって調整するかです。人間が直接制御できない海水温や海流の変化はそもそも議題として出てきません。


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