腸が荒れると何が起きるのか。ここでは全体像だけ見ておきましょう。
腸の内壁は、外敵の侵入を防ぐ広大な「城壁」です。この城壁にひび割れが生じると、本来なら腸の中にとどまるはずの毒素や細菌の断片が血液中に漏れ出し、免疫が「敵襲」と判断し、いわばパニックを起こします。
これが全身のボヤ(慢性炎症)の大きな火元になります。
同時に、善玉菌が作ってくれていた「天然の消火剤(短鎖脂肪酸)」の産生量が激減します。この消火剤はボヤを鎮めるだけでなく、自律神経やホルモンを安定させる方向にも働きます。そのため、消火剤が足りなくなった体はシステムのバグ(機能性障害)を起こしやすくなります。
腸が荒れると、ボヤとバグの両方が生まれるというわけです。逆に腸を整えれば、両方を源流から断つことができます。
サビとコゲ:細胞を劣化させる双子の敵
ボヤ(慢性炎症)とバグ(機能性障害)を生む経路は腸だけではありません。
体の内部では、細胞そのものが静かに劣化していく、別の問題が進行しています。
それが、「サビ(酸化)」と「コゲ(糖化)」です。
この2つは、メカニズムは異なりますが、やることはよく似ています。
どちらも細胞や組織をじわじわと傷つけ、ボヤ(慢性炎症)とバグ(機能性障害)の両方を加速させます。
▶サビ(酸化):活性酸素が細胞をむしばむ
鉄が雨ざらしになると赤茶色のサビが浮き出すように、私たちの細胞も日々少しずつサビついています。
その原因は、呼吸や代謝の過程で必ず発生する「活性酸素」という物質です。
活性酸素は、適量であれば細菌やウイルスを攻撃する免疫の「武器」として欠かせない存在です。問題は、食事の乱れ、睡眠不足、過度なストレス、喫煙などが重なって、この武器が過剰に発生した場合です。
活性酸素が過剰になると、本来は体を守るための武器だったものが、自分自身の細胞膜やDNAまで傷つけるようになります。
この状態を「酸化ストレス」と呼びます。
▶コゲ(糖化):余分な糖がタンパク質を硬くする
ホットケーキを焼いた時の、あのこんがりした焼き色。あれは糖とタンパク質が熱で結びついて生まれる化学反応です。
これとよく似た反応が、あなたの体の中でも静かに進行しています。
食事から摂取した余分な糖が、血管や皮膚、関節など、体のさまざまな組織を構成するタンパク質と結びつき、じわじわと変質させていきます。体温というごく「弱火」で、何年もかけて体を内側からコゲつかせていくのです。


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