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クマ害の増加の原因は自然破壊ではない
ここ数年、クマの害が増えていると報道されている。2025年に北海道・知床の羅臼岳で26歳の若い登山者がヒグマに襲われ、亡くなった事故に震え上がった人は多かっただろう。この年には、秋田や岩手などでも中心市街地にまでツキノワグマが出没し、買い物のために外出することさえままならない事態になった。
クマ害が深刻になっている背景にあるのは、1990年代に入ってから自然環境への意識の高まりとともに、野生動物が保護対象になってきたことだろう。それまでの乱獲が規制され、クマだけでなくイノシシやシカも日本列島全体で急増するようになった。
くわえて昭和のころはリゾートなどの乱開発などで自然が破壊されていたのが、いまは逆回転している。山に緑の森が戻ってきているだけでなく、山里の限界集落などがだんだん消滅に向かっていくなかで、森の刈払いをする人もいなくなり、里山は放置されるがままになっている。さらに温暖化が進んでいることもあって、アレチウリなどのツル草が異常なまでに繁茂するようになった。この結果、里山や集落は緑に呑み込まれて、外部からは見えにくくなり、野生動物がウロつきやすくなったのだ。
おまけに山あいの集落にはカキやクリの果樹が生え、畑には野菜がある。それまでドングリを食べていたクマも、栄養価が豊富で食べやすいこれらのエサに釣られて、山から降りてきてしまう。
こういう流れの中で、クマが人里に近いところまで大挙してやってきているのである。「人間が自然破壊するから行き場をうしなったクマが山を下りてきた」などという解説がテレビなどでは大手を振っているが、まったく正しくない。逆に人間の住むエリアが縮小し、自然が猛烈に拡大しているからクマもそれに沿って人間の領域にまで侵入してきているのだ。


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