ナイキをはじめ、名だたる海外ブランドの路面店が並ぶ原宿駅前の目抜き通り。その一等地に8月中旬、カナダ・バンクーバー発のルルレモン・アスレティカ(以下、ルルレモン)の旗艦店がオープンした。ガラス張りの店舗には、商品とともに木のオブジェなどのアート作品が配置され、スポーツブランドショップらしからぬ高級感を漂わせている。
1998年に創業したルルレモンは、アクティブウェアにファッション性を打ち出し、「アスレジャー」(スポーツウェアを普段着としても着るスタイル)ブームを作ったパイオニア的な会社だ。日本には2016年に再上陸して以降、銀座シックスなど都市部を軸に出店を広げ、現在は直営店13店と自社ECを展開する。
原宿店は、主力のヨガウェアのほか、ランニングやテニス、ゴルフ用のアクティブウェア、バッグなど服飾雑貨を幅広く陳列し、アジア・太平洋地域(中国は除く)の中では最大級の店舗になる。シニアバイスプレジデント兼アジア・太平洋地域(APAC)のジェネラル・マネージャーを務めるエリオット・ハリス氏は「アンバサダーによる『コミュニティハブ』での体験と、機能性とファッション性を持った商品を強みに、日本を含む東アジアと東南アジアに投資していく」と意気込む。
3年かけて準備してきた肝煎りの店舗
若者や訪日客が多数往来する原宿エリアは、ナイキやホカといったスポーツブランドの旗艦店が集積する激戦区でもある。日本法人のスチュワート・テューダー社長は「旗艦店の出店には3年かけている。それ以前に、各店舗を拠点にしたコミュニティを形成し続けてきたからこそ実現できた」と話す。
ルルレモンの成長を支えるブランド戦略の要が、「コミュニティハブ」と呼ぶ、店舗を拠点としたファンベース作りだ。ブランドのアンバサダーとしてヨガインストラクターやトレーナーを起用し、各店舗ではランニングやヨガの関連イベントを定期的に開催している。イベントを通じて商品購入以外でも顧客接点を作り、強固な関係性を築くとともに、「健康的な生活を始められる」というブランドイメージを醸成してきた。
今回、旗艦店の出店先に原宿を選んだ理由の1つも、ランナーに人気が高い代々木公園が近いことだったという。

ルルレモンの商品は、ヨガやピラティス向けのレギンスで1.5万円前後。中高価格帯ゾーンながら、こうした独自の戦略が功をなし、全社売上高は20年度の44億ドル(約6600億円)から25年度には111億ドル(約1.6兆円)にまで急拡大した。店舗数も世界で825店(26年7月末時点)に達する。
とくにアスレジャーが浸透したコロナ禍以降は、株式市場でも大きな期待を集めてきたルルレモン。ところがそのブランディングの優等生に今、異変が見え始めている。
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