ランダム商法にはもともとこういう危うさがある。人間を熱中させる力が強ければ強いほど、公平性への期待も高まるからだ。数回試した程度なら、「まあ、仕方ないか」で終わるかもしれない。しかし、何千円、何万円と費やし、何度も挑戦した人は、絶対に希望する景品を当てたいという強い思いを持っている。
あとから不正が判明すれば、それまで注ぎ込んできた金額や時間が大きい人ほど、「自分も被害を受けた」「期待を裏切られた」という感情を持つことになる。人を熱くさせる仕組みは、その熱量が反転したときには、それだけ大きな怒りを生む。
近年、この種のランダム型の商品や販促企画は珍しくなくなった。一番くじ、カプセルトイ、カード、ゲーム内ガチャなど、消費者が「欲しいものを直接買う」のではなく、「欲しいものが当たるまで挑戦する」という仕組みは日常生活に広く入り込んでいる。
提供側にとっては売上を伸ばしやすく、利用者側にもゲームとしての面白さがあるため、それ自体を一概に否定はできない。ただし、そのビジネスが成立するのは、抽選が適正に行われているという信頼があってこそである。
その他の施策も一斉中止に
今回、一部従業員の不正によって、何の関係もない多数のファンが楽しみにしていたキャンペーンが中止になってしまった。ビッくらポン!の景品だけでなく、湯呑みや寿司皿のプレゼント、コラボメニュー、店内装飾など計6施策が終了した。
この事件が示したのは、限定グッズの転売問題だけではない。人間の「当てたい」という心理を利用するビジネスには、それだけ重い運営責任が伴うということだ。ランダム商法は、人を夢中にさせるからこそ、ビジネスとして魅力的である。だが、そのゲームが公平ではないと疑われた瞬間、そこで生み出された熱狂はそのまま企業への不信や怒りへと転化する。
今回のくら寿司の騒動は、ランダム商法が内包していたリスクが一気に表面化した事件だったと言えるだろう。


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