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政治・経済・投資 #野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」

マッチポンプとすら言えない「コメ政策」の現実、"場当たり策"に終始する高市政権が見直すべき「300年前の先人の知恵」

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備蓄米
放出した備蓄米を買い戻す一方で食料品の減税を進める政府の方針に矛盾はないのか(写真:せぶちゃ/PIXTA)
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日本経済新聞は9月1日、「備蓄米21万トン買い戻しで米価下支え 物価高対策の食品減税と相反」との見出しで、この政策上の矛盾を指摘。「物価対策を推進するなかで、米価に上昇圧力をもたらす買い戻しは、政策の方向性が逆だ」とした。

朝日新聞は8月26日付の記事で、コメの在庫が膨らみ、米価が下落する中で備蓄米を買い戻すことについて、需給を引き締め、米価を下支えする方向に作用すると指摘している。そして、「買い戻しで価格が下げ止まれば、消費者にとってはデメリットになり、政府の物価高対策との一貫性が問われることになる」としている。

現在のコメ政策体系の第1の目的は、コメ生産者が再生産を継続できる条件を確保することだ。米価が下落しすぎれば、農家の収入が減少し、離農者が増え、将来の国内生産能力そのものが低下するおそれがある。第2の目的は、消費者の生活を守ることだ。

これらの目的は、いずれも合理的である。問題は、それぞれの政策を別々に考えてよいのかということだ。

マッチポンプとすら言えないお粗末な現実

現在のコメをめぐる政策は場当たり的な対応に終始している(写真:AKIRA/PIXTA)

政府が市場から大量のコメを買い戻せば、市場価格には上昇圧力がかかる。他方で、消費税を減税すれば、消費者が支払う税込み価格には低下圧力がかかる。2つの政策は、少なくともコメの最終的な消費者価格に対して反対方向に作用する。

現在の問題は「農家を守るか」「消費者を守るか」のどちらか1つしか選んでいないことではない。両方を守るというのであれば、そのための政策体系がどのように組み立てられているのかが見えないことである。

価格を上げたり下げたりする現在の政府の政策を「マッチポンプ」だとして批判する向きがある。しかし、この評価は不適切だと私は思う。なぜなら、マッチポンプとは自ら火事を起こし、それを自分で消火し、その過程で不当な利益を得ることだからだ。これは、高度に知的な作業なのである。

いま起きているのは、このように知的に高度な陰謀ではない。価格を上げたり下げたりしているのは事実だが、それは「隠された目的」のために統一的に行われていることではない。

備蓄米買い戻しの公式な目的は、食料安全保障上必要な政府備蓄を回復することだとされており、政府は価格への影響をできるだけ避けながら買い戻すとしている。しかし、その過程で価格を引き上げる方向の力が働く。

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