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政治・経済・投資 #野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」

マッチポンプとすら言えない「コメ政策」の現実、"場当たり策"に終始する高市政権が見直すべき「300年前の先人の知恵」

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備蓄米
放出した備蓄米を買い戻す一方で食料品の減税を進める政府の方針に矛盾はないのか(写真:せぶちゃ/PIXTA)
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その一方で、政府は物価高対策として食料品の消費税を引き下げ、消費者価格を低下させようとしている。このように、片方で価格を下支えしながら、他方で価格を引き下げようとしている。

つまり、政府は系統だった政策を行えていないだけのことなのである。上記のように朝日新聞や日本経済新聞が「政策の方向が逆だ」と問題提起しているのも、このためだ。

価格変動リスクを処理する仕組みを市場に組み込め

大阪に立つ堂島米市場跡記念碑(写真:ふくいのりすけ/PIXTA)

では、日本人は昔からコメの価格に関して、このような場当たり的な対応をしてきたのだろうか。実はそうではない。約300年前の大阪には、世界的に見ても極めて先進的なコメ市場が成立していた。堂島米会所である。

コメは豊作か凶作かによって価格が大きく変動する。収穫時期にならなければ供給量がわからず、価格も予想しにくい。そこで、将来売買するコメの価格をあらかじめ決めて取引する仕組みが発達した。

これは現在の先物取引だ。大阪の商人たちの間で発達した取引慣行を、江戸幕府が1730年に公認し、堂島米会所として制度化したのである。

先物取引を利用すれば、将来コメを売る農家や商人は価格が大幅に下落する危険をある程度回避できる。買い手も価格急騰のリスクを減少させることができる。約300年前の日本では、価格を政府が直接操作するのでなく、「市場そのものに価格変動リスクを処理する仕組みを組み込む」という発想がすでに存在していたのだ。

現在のコメ政策を考える場合にも、この発想が参考になる。重要なのは、価格が上がったから政府が売り、下がったから今度は政府が買う、という操作を繰り返すことではない。

価格変動に生産者や流通業者が自ら対応できる市場制度を整備すべきだ。そして、生産者の所得保障が必要なら価格操作とは別の政策手段を用い、消費者支援が必要なら対象を明確にした支援策を講じるべきだ。市場経済では、価格を無理に固定することよりも、価格が変動することを前提として、そのリスクを処理する仕組みを作ることが重要である。

いま求められているのは、コメの価格を市場にどこまで委ねるのか。農家の所得をどのように保障するのか。消費者の負担をどのような方法で軽減するのかという問題である。これらを明確に区別したうえで、相互に矛盾しない政策体系を作ることが必要だ。

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