沿線は多くの観光地があり、この切符を使っての見どころもたくさんある。例えば、押上駅下車の「東京スカイツリー」や「東京ソラマチ」、京成上野駅を出てすぐの「アメヤ横丁」や「上野恩賜公園」、柴又駅下車の「柴又帝釈天」などはもちろん、京成曳舟駅下車の「向島百花園」では季節折々の花が楽しめる。
さらに、この切符には優待特典が付いており、切符の提示で一部の店舗などで割引や無料特典などが受けられる。特に金町線・柴又駅の最寄りにある柴又帝釈天参道では10カ所もの対象店舗があり、映画「男はつらいよ」で知られる渥美清さんが演じた車寅次郎の愛した「草だんご」が店舗によって割引されるなど、観光の思い出にもってこいの内容だ。
下町日和きっぷはどのような理由で始めたのか、京成電鉄・経営統括部広報・CSR担当者に尋ねると、「京成線沿線の東京都区内区間における多様な観光資源を戦略的に活用し、東京都東部に広がる下町エリア固有の魅力を積極的に発信するため、2011年から販売を開始した」とのこと。国内外の観光客に対する認知度の向上、京成電鉄ブランドの価値向上、および沿線地域への旅客誘致に寄与しているそうだ。
利用者からの具体的な反応はどのようなものがあるか。これについては「530円で乗車範囲が広く、乗り降り自由なのが安心、気軽に下町散歩に行けるといった声がある」という。また、「単に沿線を周遊するだけではなく、特典を活用しながら地域の文化・歴史・食などの魅力をより深く体験できる点に、高い満足が示されており、観光体験の質の向上につながっていると考えている」とのことだった。
実際に、この下町日和きっぷを使ってみた。購入したのは、京成上野駅。普段使う自動券売機で購入できるが、購入の際に気をつけたいのが、下町日和きっぷの案内(チラシ)である。チラシを読まないと、各駅周辺で特典となる店舗や施設の詳細がわからなくなるからだ(公式HPにも記載されている)。また割引を受けることができる店舗でも従業員への説明が必要になる場合もある。
寅さんが愛した「草だんご」も割引価格
まずは、京成上野駅から徒歩5分くらいの場所にある「したまちミュージアム」に行った。場所は上野公園内の不忍池付近にあり、駅からのアクセスが良い。
下町日和きっぷを提示すると、入場料(一般300円)に対して200円で入場することが可能で、100円の割引となる。館内は、昭和30年代にタイムスリップしたような台東区坂本(現・根岸三丁目付近)を再現した街並みや、戦前〜戦後、高度成長期の貴重な資料や生活道具が展示されており、当時の生活を知ることができる。
館内を散策したあとは京成線に乗り、青砥駅経由で京成立石駅で下車した。古いアーケード商店街を抜けて徒歩5分ほどの甘味処「舟和」に行く。一昔前の懐かしい店構えで焼きそばなどの軽食も楽しめるのでおすすめだ。こちらではフリーきっぷの提示で、700円以上の食事に芋羊羹がサービスとなるが、筆者が訪れた日は芋羊羹が在庫切れで、アイスコーヒーに変更されていた。
再び京成線に乗り、京成曳舟駅へ。ここから徒歩15分の場所にあるのは「向島百花園」だ。ここは都立9庭園の1つで文化財に指定されている江戸時代から続く歴史・文化・自然を兼ね備えた庭園で、池と水辺の花など四季折々の風景が楽しめる。入場料は大人150円。フリーきっぷ提示で120円になる。
最後は京成高砂で金町線に乗り換えて柴又へ。平日ということもあり、観光客はまばらである。柴又帝釈天参道ではさまざまなお店で特典を受けることが可能である。その中の1つ「とらや」では、食べ歩き草だんごが、50円引きの150円で(1人1本限り)購入できる。帰路は柴又から京成上野へ。

