それでも彼らが投資に納得しているのは、金額に見合う変化が具体的に起きているからだ。Pokoさんは当初「お金も時間もかけている以上、絶対に成果を出さなきゃ」と気負っていたが、コーチから「英語は続けていくことが前提」と繰り返し伝えられ、考え方が変わったという。「自信のなさからくる『できないのが怖い』が、『きっとできる』へと変わっていった」。
AI時代に「人が伴走する」価値
この変化を支えるのが、採用率0.3%という基準で選ばれたコーチ陣だ。諸澤氏によれば、月1000件以上の応募から絶対基準で選考し、採用後はみっちり、応用言語学や第二言語習得論といった理論から徹底的に研修する。最終テストに合格した者だけが受講生を担当できる。
同社は、コーチを原則フルタイムで雇用している点も特徴だ。業界ではパートタイムやスポットの業務委託での採用も多いなか、完全オンラインの勤務環境を整えることで、居住地にとらわれず全国・海外から優秀な人材を採用。フルタイムで受講生に向き合える、質の高いコーチ陣を形成している。一方で、個別カリキュラムの作成には膨大な手間がかかる。同社はAIと社内ツールでこれを効率化し、「講師がやれば1時間かかる業務を5分に縮める」水準まで持ち込んだという。
翻訳AIが普及した今、英語学習そのものの価値を疑う声もある。諸澤氏はメールなどの情報伝達についてはAIのほうが優れていると認めたうえで、こう述べる。
「AIだけでは、信頼は勝ち取れません。人と人が直接、その言語でやり取りすることで初めて生まれる信頼関係があります」
コーチングにおける人の役割も同じだという。「正しいことを言うAIに褒められても、人の心はなかなか動きません。コーチが具体的な頑張りをちゃんと見て褒めるからこそ、感情が動いて、もう一度頑張ろうと思える」
増田さんの実感がそれを裏付ける。「大人になると褒められる機会は本当に減ります。子どものことは褒めるのに、自分は誰にも褒められない。そこに毎日『ここが良くなっています』と言葉が返ってくるのが、思っていた以上にうれしかった」
英語への投資が高いか妥当かは、最終的に何を得られるかで決まる。10年通っても話せないまま払い続ける費用と、3カ月から半年で学習の型を手に入れる費用。どちらが本当の意味で高くつくのか、一度計算してみる価値はありそうだ。


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