「(体を)また揺さぶられる感じがしたから、誰かがいたずらをしていると思ってしゃがんで見たら、鎧を着た日本人の鬼がいる。その後ろに中国人の警察がいて、鬼を護送している。(中略)その中国の警察が日本人の鬼を窓の外に護送して行くのを見た」
この小学校の図書室には、日本時代の古書が大量に所蔵されており、日本兵にまつわる怪談が児童たちから多く集まったという。
「軍隊の怪談」はなぜ生まれる? 「自衛隊の怪談」も
賴さんの「軍隊のタブー」を紹介したが、人類学者の李家愷氏によれば、軍隊の中では、兵士たちが怪談を語り合うことは古くからの伝統だったようだ。
なぜ、軍隊に怪談が生まれるのか。李氏は、装備に関する不慮の事故や、上官や同僚からのいじめを苦とした自殺など、軍隊で死が絶えないことが一因だと台湾メディアへの寄稿で指摘している。
軍事基地は人里離れた山あいに位置することが多く、刑務所や処刑場として使用された場所や、実際に戦場となった場所もあるという。こうした場所で兵士たちは野営したり、夜間の見張りを行ったりする。
「こうした伝統や、地理的、時間的、人的なさまざまな要因が組み合わさることで、軍隊内に独特の環境が生まれ、それが絶えず怪談を生み出す原因となった」(李氏)
怪談が生まれ、語られるのは、日本の自衛隊も例外ではないようだ。
「自衛隊の怪談」などを研究する民俗学者の市東真一氏は論文「自衛隊の中の民俗世界」において、自衛隊の中に怪談話が存在する背景として「厳格な上下関係と訓練や銃器などの事故・自殺の関係が大きく影響していることが伺える」と指摘する。
また、年齢が一定ではない部隊の中では、休憩時間などに共通の話題を考えるのが難しいため、怪談がよく語られるーーといった隊員の証言を紹介している。
過酷な訓練生活の中で「心身の疲労から起こる幻覚」も自衛隊で怪談が生まれ、伝承されていく要因だという。
近年の台湾では、怪談をただ怪談として受容するだけでなく、怪談を手がかりに、自国の歴史や社会に意識を向かわせる斬新なエンタメ作品が生まれている。


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