それも無理はありません。かつては、相手との距離を縮めるために軽く肩をたたいたり、背中に手を添えたりすることが、親しみや励ましを示すコミュニケーションとして扱われる場面もありました。実際に研修等でそう教わってきた世代でもあります。ほかにも、飲みに行って腹を割って話す。厳しく叱って育てる。仕事は先輩の背中を見て覚える。プライベートの話までできるのが、関係性が近い証拠。そう教育されてきた人も少なくありません。
ところが今、職場で求められるコミュニケーションは大きく変わっています。昔教わったことを忠実にやっているのに、なぜか部下との距離が開いてしまう。そんな悩める管理職が増えているのです。
ここでまず押さえておきたいのは、「昔は全部間違っていた」という話ではないということです。時代には、その時代なりの価値観が存在します。以前は、一つの会社で長く働き、職場の人と濃い人間関係を築くことが今以上に重視されていました。
仕事が終わってから飲みに行く。
社員旅行やイベントに参加する。
休日も職場の仲間と付き合う。
そうした時間も含めて、「仲間になる」ことが職場の人間関係をつくっていた環境があります。ところが今は、仕事とプライベートを明確に分けたいと考える人が主流でしょう。
「飲み会に参加しない=付き合いが悪い」とは限りませんし、職場の人とは仕事に必要な範囲で良好な関係を築ければ十分、と考える人もいます。つまり、昔の方法そのものが悪いというよりも、同じ方法を、価値観の違う相手にそのまま使うことが難しくなったのです。
身体的接触に対する反応や距離感の変化
まずは、相手との距離感です。
以前は、肩をポンとたたいたり、近い距離で話したりすることが、「気にかけている」「親しみを持っている」というサインになることもありましたが、今は違います。異性には気を付けているが、同性同士は問題がないのではと捉えている方が多いことも気になります。
実際には、同性同士の身体的接触や距離感についての相談も少なくありません。


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