「この企画、どう思う?」
会議の終わり際、管理職が若手社員にそう声をかけた。すると若手は、一瞬考える素振りを見せたあと、すぐにスマートフォンを手に取り、「ちょっとAIに聞いてみます」と答える。管理職は「いや、AIじゃなくて、君がどう思うかを聞きたいんだけど……」と心の声を言葉に出せずにいる。「下手なことを言ってハラスメントと思われるくらいなら、必要なことだけ伝えたほうが安全だから」とモヤモヤとした気持ちを抑え込む。
会話が少しずつ減っていく職場
若手は、速攻AIへ。上司は部下に踏み込めず距離を取る。同じ職場にいながら、人と人との会話だけが、少しずつ減っているのである。
最近では、こんな光景も珍しくなくなりました。
文章を考える。アイデアを出す。メールを整える。資料を要約する。わからないことを調べる。これまでなら上司や先輩に「ちょっと教えてもらえますか」と声をかけていた場面でも、今はAIに尋ねれば、ほんの数秒でそれらしい答えが返ってきます。
もちろん、これは悪いことではありません。相手の仕事を中断させることもなく、自分のタイミングで何度でも質問できる。AIは非常に便利な「相談相手」です。
一方、管理職側にも別の変化が起きています。
「余計なことを言ってハラスメントと思われたくない」
「プライベートには踏み込まないほうがいい」
「下手に注意して、パワハラと言われたら困る」
そんな思いから、部下との距離を取る人が増えているのです。


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