アイダホ州にあるルイス・クラーク州立大学のラストらは、大学生76名をくじ引きのように2つのグループに分け、さらに何もしない比較グループ32名を加えた、合わせて108名を対象に実験を行いました。
1つ目は「自分の強み2つを伸ばすワーク」を続けるグループ。2つ目は「強み1つと相対的弱み1つを伸ばすワーク」を同じ期間続けるグループ。3つ目は何もしない比較グループです。前と後で測ったのは、人生満足度尺度(Satisfaction With Life Scale)という、自分の人生にどれくらい納得しているかを問う物差しでした。
実験では、2つのワークに取り組んだ人たちをまとめて見ると、何もしなかった比較グループよりも生活満足度が上がっていました。面白かったのは、強み2つグループと強み+弱みグループの間に、ほとんど差がなかったことです。つまり「弱みを1つ混ぜても、幸福度の伸びはちっとも損なわれなかった」のです。
「相対的弱み」があっても人生の満足度は上げられる
私たちはつい、「弱みに取り組む=自分を否定すること」「強みに集中する=自分を肯定すること」と感じてしまいます。でも、データはそんな単純な図式を支えてはくれません。それどころか、ある条件のもとでは「強み×弱み」のかけ算が、強みだけを伸ばすやり方と同じくらいの効果を持つこともあるのです。
ここで言う「相対的弱み」とは、人とくらべた弱みのことではありません。自分の強みリストの中で、順位が下のほうにある特性を指します。たとえば、好奇心は強いが粘り強さは控えめというタイプの方なら、粘り強さが「相対的弱み」にあたります。
「人とくらべてどん底に弱いところ」ではなく、「自分の中で順位の低い特性」を指しているというところが、この研究のミソです。順位が低いだけで、ゼロというわけではありません。だから、少し意識して使えば、ちゃんと育てていけるレベルにあるのです。
ラストらの実験で、強み+弱みグループに割り当てられた参加者は、自分の相対的弱みを12週間にわたって生活の中で使う工夫を続けました。粘り強さが弱みの人なら、「今日はこの作業を最後までやり切る」と決めるだけの、ごく簡単な工夫です。
それを続けた結果、最初の2つのグループを合わせた人生満足度は何もしなかった比較グループよりも上がりました。


※ログイン後、コメント入力が可能です。