しかし思春期のアドレナリンを持て余すティーンエイジャーたちは、日本の少年漫画・アニメのスピード感と力強さにこそ魅了された。親たちから許され与えられるものとは違う、自分たち世代ならではのカルチャーとして、漫画・アニメに強く思い入れ、熱愛した人は少なくない。
そうして漫画・アニメと青春を共にした少年少女が歳を重ね、40代後半になった今、フランス社会の意思決定層で存在感を増している。
手軽なエンタメを超え、人生を彩る大切な文化と漫画・アニメを捉えている世代――マクロン大統領は、まさにその世代にあたる。
日本来日時には漫画・アニメの関係者と接し、首脳会談でもフランスの漫画・アニメ愛をアピールする大統領。彼が「私の関心」と漫画・アニメへの思いを語るのは、ただのリップサービスではないのだ。
フランスの「ドラゴンボール・パーク」は実現するか
今回、フランスとサウジアラビアの戦略的パートナーシップ上で、『ドラゴンボール』の作品名が出たのも、フランス大統領とサウジアラビア皇太子が共に愛読者で、その話で会話が盛り上がったから、とまことしやかに言われている。
日本が誇る作品なら、関連施設も本国にあってほしいと願うのは、日本の愛好家の心情だろう。しかし漫画・アニメに関しては、今のフランスなら、大切な作品を託すに値すると筆者は思う。
漫画・アニメを「金になるIP(知的財産)」以上に大切に愛でる人々が、フランスには多数いる。筆者の周囲の『ドラゴンボール』愛読者は、「絶対行く! 楽しみ!」と笑顔の絵文字満載で、このニュースをシェアしてきた。日本のファンの方々には、同好の士を温かい目で見てもらえたら、と願う。
最後にちゃぶ台をひっくり返すようだが、実はフランス大統領府の発信では、『ドラゴンボール』の作品名には触れられていない。
キディア社が24年、サウジアラビアに世界初の「ドラゴンボール・パーク」の建設を公式発表したことに関連する報道と思われる。しかし9月1日現在、『ドラゴンボール』の公式サイトでは、フランスでのテーマパーク計画への言及はない。
日本側との権利関係の合意がいまだなされていない、ともささやかれる、このテーマパーク計画。漫画を愛する人々が歓迎できる結末になるよう、今後の次第を見守りたい。


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