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「売れない」と言われた、常識破りの一台
「まさか、ここまでやるとは思ってなかった……ようやったな!」
2010年8月、パナソニック サイクルテック社内の会議室では、拍手が鳴り響いていた。プレゼンテーションを行った女性社員たちは、社長の言葉を受け、晴れやかな表情を浮かべている。彼女たちが提案したのは、新しいモデルの子乗せ電動アシスト自転車だ。しかし、全員が商品開発部門のメンバー、というわけではなかった。企画部、営業部、調達部、工場——所属も勤続年数もみなバラバラ。ただ一つの共通点は、「全員が子育て経験者」だったことだ。
翌2011年、プレゼンから生まれた新商品「ギュット・ミニ」が発売されると、通常の倍のペースで販売台数が伸びていった。さらに、2021年からは2年連続で「ギュット」シリーズが「マザーズセレクション大賞」を受賞。今年で発売15周年を迎えるが、現在は子乗せ自転車の定番として、市場を牽引し続けている。
ところが、当初この製品は「売れないだろう」と社内で言われていた。なぜなら、同製品は業界の「常識」を覆した設計だったからだ。定説にとらわれない製品は、いかにして生まれたのか。その軌跡を紐解いていく。


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