従来より、同社の商品開発は男性中心だったため、ユーザーである母親の目線が不足していたのだろう。女性社員が「なんか使いづらい」と感じる原因は、このズレから生まれていたものだった。
ほかにも、子どもを乗せやすいチャイルドシートの形や、安定感のある大きめのスタンドなど、さまざまな「子どもファースト」の提案がなされた。かつてのように「大人の自転車に子どもを乗せる」のではなく、「子どもを乗せるための大人の自転車」へと、発想の転換が起きた瞬間だった。
会議室が拍手喝采に包まれ、満場一致で提案が通ると、「こんなにうまくいくとは……驚いたよ(笑)」と社長は本音をこぼした。
社内で疑問の声もあった新型自転車
「この仕様だと、作ったところで売れないよ」
「今から間に合うかどうか……」
大成功に終わったプレゼンの数日後、設計部門を訪ねると、社員からは渋い反応が返ってきた。当時、「小さい車輪は走らない」というイメージが先行しており、さらに急遽発足された子乗せ自転車プロジェクトは、年間計画に割り込む形になってしまったからだ。
「前後20インチの車輪」は、「後席の子どもの足が車体に当たらないか」など、安全性の検証に相当な時間が必要とされた。
しかし、土岩さんをはじめとするチームメンバーは折れなかった。
「子育て経験者のみんなで考え抜いた商品だったので、変な自信がありました」(土岩さん)


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