こうした実践のためには、管理職の深い理解と強いリーダーシップが必要です。前熊谷市教育長だった野原晃先生が富士見中学校の校長だった時、「特別支援教育の“特別”を取るべきだ」と常におっしゃっていました。「すべての子どもが支援の対象であるべきだ」という前提を共有していたからこそ、『多様性の包摂』が学校現場で実現できたのだと思います。
しかし、前述のように学校現場は疲弊しています。今やすべてを学校だけで抱える時代ではなく、管理職がどれだけ学校外のリソースをうまく引き込むかが問われていると思います。
私が学校現場に勤務していた時は、クリニックと連携していましたが、学校外の関係機関とうまくつながることは、学校にとっては大きな力となります。
クリニックには、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、公認心理師、臨床心理士、保育士等の経験豊富な専門家がそろっています。さまざまな角度から1人の子どもを見ることができるので、専門的な知見を基に、よりよい指導のための情報を学校に提供してもらうことができます。さらに最近では、学校・保護者・医療機関の連携を支援する新しい専門職『医療教育コーディネーター』も加わりました。
専門家のリソースも地域差はありますが、実際、すばらしい管理職ほど、こうした学校外のリソースをうまく使って、子どもたちや先生方をしっかりと支えています。
「優れた管理職」には共通点があった!
私が学校の通級担当だった当時、支援体制を上手に構築されていた歴代の校長先生には以下のようにたくさんの共通点がありました。次期学習指導要領で問われる「管理職の資質」といってよいのではないかと思います。
・毎日特別支援学級、通級の教室へ足を運び、生徒と関わる。
・校長室にいることが少なく、いつも校内巡回をしている。
・生徒や教職員1人ひとりを大切にし、声をかけ直接話を聴いている。
・特別支援教育について深い理解があり、常に最新の知見を持っている。
・柔軟な発想ができ、制度に子どもを合わせるのではなく、子どもに制度を合わせる仕組みを考えることができる。
・学校外の関係機関との良好な連携ができる。
・不登校に対して強い関心と問題意識をも持ち、不登校の数が少なく抑えられていた。


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