現在、日本国内の不登校児童生徒数は約35万人、中学校での不登校の割合は7%に迫ってきていますが、私はかなり前から、「多様性が包摂されていない(制度に子どもを合わせようとして機能不全を起こしている)」結果が、不登校の増加にも表れていると思っていました。学校時代での経験からも、不登校の多い学校ほど機能不全を起こしていると実感しています。
研究当時の富士見中学校の不登校の数は、大規模校だったにもかかわらず、全体の1%程度だったと記憶しています。その1%の生徒に対しても校内リソースを使って働きかける取り組みがなされており、誰一人取りこぼさないという覚悟がありました。多くの学校が「教室に戻れ、学校に教室以外の居場所はない」という発想ですが、それとは逆の取り組みだからこそ、不登校が劇的に減ったのです。
不登校の対応は課題だと捉えられていても、不思議なことに、その数については学校現場であまり話題になりませんし、地域で公表されることもありません。学校には、学力調査のアベレージに一喜一憂するのと同じ熱量で、不登校についても関心を持ってほしいと思います。
「不登校の少ない学校で何が行われているか」
現在検討されている次期学習指導要領では、学校単位の「学びの多様化学校」とは別に、個々の不登校児童生徒について、必要に応じて特別の教育課程を編成できる仕組みが示されています。しかし、自治体や学校が「前例がない」「制度上難しい」と判断してしまえば、制度があっても子どもの選択肢にはなりません。
今後は「学校に子どもを合わせる」のではなく、「子どもの学びに学校や制度を合わせる」という発想への転換が必要ではないかと思うのです。より柔軟な教育課程や学習評価、そしてしなやかな学校経営。富士見中学校の研究が示すように、19年前にすでに実現できたことです。
「不登校の少ない学校で何が行われているか」を丁寧に拾っていくことで、「多様性の包摂」への道が、より具体的に見えてくるのではないでしょうか。


※ログイン後、コメント入力が可能です。