業績が好調となれば、2号館、3号館の構想も当然浮上する。今後は、桃山館の周辺を裏熱海として、盛り上げたいという。
昭和レトロから平成レトロへ
桃山館を支持するのは、50〜60代とZ世代だ。親世代の子どもがZ世代になり、かつて親が聞いていた音楽や雰囲気が、そのまま受け入れられている。
あと数年で定年を迎える川﨑さんにこれからの桃山館の展望を尋ねた。
「家にはまだまだ飾りきれていないものがあります。展示を入れ替えながら、もう少しこのままの業態で続けます。ただ“昭和レトロ”から“平成レトロ”に、テイストは少しずつ変わっていくと思いますが」
桃山館の入場無料は、気前のよさではなかった。待ち時間を遊びに変え、100円のゲームで利益を積み上げる。無料で入れることそのものが、いちばんよくできた仕掛けだ。
ただし、その仕掛けの中身は、マスターが本気で好きだったものでできている。希少品がないから入場料は取れない──その線引きが、結果として客層を広げた。
計算と正直さが同じ方向を向いた結果が、あの行列である。急な坂を登ってでも、人が通うわけである。


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